公務員の働くやりがいについて考える②
◎今日のブログのまとめ
・公務員自身が感じる仕事へのやりがいは総じて低い事実がある。
・公務員の働き方改革の不思議
・生産性を高めるためには、仕事にやりがいを感じる公務員を増やすしかない。
前回のブログで、公務員の働き方改革について、少し触れましたが、今回は『そもそも論』として働くということを考えるにあたり、最も大切な点についてお話します。
ずばり、『仕事のやりがい』です。
公務員は国家、地方とわず、自分の仕事にやりがいを感じている方が決して高くないと思います。残念ながら私が所属する県庁もその割合は低く、50%にも届いていません。
職員2人に1人は、自分の仕事にやりがいを感じていないというのはかなり危機的な状況だなと感じています。
前の会社では、ありえない数字だし、そもそも仕事のやりがいというのは自分で見つけるものであり、与えられるものではないと根本的には感じますが、公務員の世界は独特なところなのです。
元々、人の役に立ちたい、国、地方の魅力を高めいたい、不満、不安、不足などの「不」を解消したい、地域を元気にしたい等、皆それぞれが志を持って、公務員の世界に入ってきていると思います。
それでも自分の仕事にやりがいを持てないのは・・・
いくつか理由はあります。
- そもそも仕事の成果が見えづらい
- 意思決定プロセスが長い、遅い、面倒くさい
- 利害関係者が多く、玉虫色になる
- 悪い意味での公平性(マーケティング観点が効きにくい)
- 誰かがやらないといけないんだけど地味で面倒くさい事務作業という現実
- 希望する業務を基本的に担当できない
などなど、挙げたらきりがありません。
より直裁的にやりがいに直結させるのであれば、自分がやりたいことを仕事にすることです。つまり、各人の希望をふまえて、人事・配置をするということ。
ただし、これは当然官民問わず、簡単な話ではありません。
仕事の重要性、本人の能力、人事の意向などに応じて、決定されるものです。
それはよくわかっているのですが、役所の人事を見ると基本的には、その人の強みを生かすというよりも、弱みを改善することに目がいきがちな気がします。
弱みを改善することでその人の強みがより生きるというのであればそのやり方もありかなとは思いますが、基本的には皆が満遍なく様々な仕事を経験し、同じような能力を持つ人材をいかに多く作るかという思想が根底に強くあるというように感じます。
今までの時代は、ある程度仕事も定型化されていたのでそういった人材で幅広くカバーするというのは理解できます。
しかし、今は、課題設定から問題解決までかなり複雑で部署によっても扱う領域、ステージは異なるわけです。そういった環境をふまえるとますます一人ひとりの強みにフォーカスする人事が求められると感じています。
何でもできる人は、もしかすると何にも結局はできない人 なのかもしれません。
いかにして人の強みを生かして、やりがいを持てる状態を作れるか。
この点を見ずして、小手先の手法論に陥る働き方改革はまさに絵に描いた餅に終わることは明らかです。
ここにメスを入れられるのは、現場ではなく、トップのリーダーシップが鍵です。
現場が責任逃れをするわけではありませんが、人事制度は労働組合との兼ね合いもあり、いじるのが非常に大変です。
○知事のリーダーシップの好例だと思います。
働き方改革は、制度論としてではなく、本質的な人事制度改革だとどれだけの人が理解しているか。それがわからないと、結局は何か新しいことに変えるためにまた新しいルールができて、運用が面倒くさくなり、使わなくなるという公務員らしい悪循環に陥るのです。
働き方改革は、いかに一人ひとりの強みを生かすかという人事改革なのです。