県庁の働き方は採用で変わる。(私が県庁の採用のリーダーであったら)
◎今日のブログのまとめ
・「働き方改革」とは「働きがい」を感じることから始まる。
・働きがいを作る根源は「採用活動」
・つまり、「働き方改革」とは「採用活動の改革」である。
1 役所の働き方改革の行く末
先日のブログで働き方改革を進めるうえで「働きがい」を感じる職場にするかが肝だという話をしました。
また、「働きがい」を生み出すためには、各人の強みや特長を活かして、仕事とつなげていくことが大切です。
役所は、仕事に人をくっつけます。
難易度が高そうだから、折衝が多そうな案件だからと、何となく年次の上の人に任せる、若者の視点を活かして、斬新な企画を考えてほしいからと、何となく年次の下の人に任せる。という感じで、仕事ありきで考えます。
過去もそのようにやってきたから、これからもそうする。。。という感じです。
これでは、なかなか任された方はモチベートされません。
自分でなければならない理由を説明してくれる、言語化できる上司はそうそう役所にはいません。
また、役所は基本的に強みを活かすよりも仕事を通じて、欠点を減らす、なくすためにそういった仕事を割り振ります。全員、何でもある程度できる人材を作る配置がなされており、根底には弱みがないことを強みとする考えが垣間見えます。
当然、こういった仕事の任せ方、配置の仕方ではより働きがいを感じて仕事をするということは絶対につながらないと思います。
恐らく、強みを活かすという観点で人事を動かしている役所は、全国にどこにも存在しないかもしれません。
結果的に、自分のしごとにやりがいを感じる職員の割合は低く、恐らく国、地方問わず、この指標が高い自治体はないと思います。
そんな役所の人事状況で出てきた昨今の「働き方改革」というお話。
ご多分に漏れず、私が所属する県庁もどうようにそういった働き方改革の手法をまとめた行動指針のようなものを策定しています。
働き方改革を通じて、職員が感じる仕事へのやりがいを高めるということらしいですが、実際の順番はその逆なのです。
自分の仕事にやりがいを感じずに、極端な話、残業代をもらうことぐらいしか楽しみがないとさえ思っているような職員がいる環境で、生産性を高めよう!なんてかけ声で実現するなんで夢のまた夢でしかありません。
結局は働き方改革の様々なメニュー、ツールも使用にあたってのルール等が導入され、手続き増えて、使うことも面倒臭くなり、誰も使用しない、何も変わらず、最終的に「働き方改革は意味がなかった」という烙印を押してしまいます。
間違いなくそうなります。
○先日のブログ
2 まず取り組むべきこと
1で伝えたとおり、職員の働きがい指標は働き方改革の結果指標ではなく、まず持って着手しなければいけない目標であり、打ち手が必要なものです。
職員の働きがい向上なくして、働き方改革はありえません。
絶対に失敗します。
なぜ、現状、職員が自分の仕事にやりがいを感じないのか?という点について考えないと行けません。
中には仕事にはやりがいを感じるけど、長時間勤務だからきつい。
だから正直、今は仕事のやりがいを感じない。
そのために生産性を上げて、プライベートも充実させる、働き方を多様なスタイルで!働き方改革!というのはある程度、論理的だし、働き方改革はこの枠組みの中で組み立てられています。
でも、でもですよ、私の直感ですが、そういう人はわずかだと思います。
現状は、
・今の仕事はつまらない、自分がやる意味を感じない。
・でもやらなければならないし、ちゃんとやらないと評価されない。
・やらないといけないことが多く、残業が増える。
・残業代は増えるけど、いくらやっても仕事そのものには何らやりがいを感じない。
・成果が曖昧。失敗は明確。だから失敗しない(手続きを抜け漏れなくやる)ように決められた手続きを粛々とやる。
と感じる方がたくさんいるのではないでしょうか?
そこで私が県庁の採用のリーダーであったら、下記の取り組みを行います。
大きく2点。(やや時間がかかりますが、本質的なことなので仕方ないと思います)
① 採用を変える。
② 配属を変える。
役所に限らず、どの組織もそうでしょうが、役所はこの部分があまりにも機能していません。労働組合の兼ね合いもあり、思い切りがつかない分野ではあることは承知していますが今後の公務員の働き方を考えるとここしかないと思います。
3 ②について
今日は、先に②について話します。
①はもっと本質的で長期的な取り組みですので、次回以降に取り上げます。
② 配属を変える。
まず、役所の人事、配属は謎が多いです。
どういった評価モデルで人をはめているのか、全くわかりません。
固めの民間企業(例えば、金融など)も同様かもしれませんが、結果的に人事でその人の評価が明らかになるというものです。どの組織も花形部署やエリートコースと言われるような部門があり、そこに配属された人は評価されているというイメージになります。ある程度、年次を重ねれば、本人の志向はともかくとしても、その人の能力をもってして、難題に取り組んでほしいという人事の狙いは十分理解できるところです。
私が言いたいのは、20〜40歳代前半くらいまでのキャリアパスになります。
このあたりは、かなり謎です。
私のように社会人枠で採用された者でも、結構、前歴の経験などが無視された配属などになったりします。この点は本当にやめてほしい。経験を活かせないのであれば、極論、入庁せずに他の選択肢を選ぶこともできるわけです。
(中途採用の活かし方についても、個人的にかなり思うところがあるので別記事でお伝えしたいと思います)
もちろん、組織人として、何でも自分の思い通りにいくわけではありませんし、自分の思い通りにならないことの方が多いのは当然です。
ただ、職員の配置という組み合わせという問題については、もっともっとやりようがあるだろうと思ってしまいます。
ただですら、地味な仕事で面倒なことばかりなので、もう少し各人の強みや経験が生きる環境を整備することで生産性は高まるかと思います。
さらに大きく2点、やるべきことがあると思います。
(1)人事部門がやること。
①役所の業務自体のグルーピング
(各部門にどんな職務適性が求められる仕事があるかということ)
②職員のグルーピング
(各職員の志向、強み、経験の整理)
③上記、二つの組み合わせ → 配属
①については、役所の仕事は幅広いですが、仕事を分解すれば、大まかにでもどういった職務上の適性が求められるかという点は、何点かにグルーピングすることは可能だと思います。
職務適性は、例えば、SPI等の適性診断ツール等のフレームを使い、一旦、仮置きするのもありだと思いますし、自分たちでオリジナルにもうけることもできるかと思います。
※ただし、この点は新採用職員の採用時にもつながるため、共通のフレームで人事が同じ意味でイメージできる言葉と定義付けが必要です。
恐らく、グルーピングのレベルの差はあれ、多分10個以内にはまとめられると思います。一つの事務をとっても様々な要素があるということであれば、その中でも特に重視される、優先される職務適性という選び方でも良いと思います。
※ただし、ある程度、一つの事務でも複数の職務適性が求められるものはそれを網羅して、現場と接続することが大切です。現場での事務の割り振りにおいて重要な指標になります。
②については、これまでの仕事の経験、面談などで語られる本人の意向などをまとめること。これも同様に本人の適性を把握する必要があります。
この点は、あまり変化がでない適性検査の結果をベースにしてもよいと思います。
③最後にマッチングです。
このあたりは民間企業でも先行している、人事×AI等の進展でより納得感のあるマッチングができるように感じています。
このようなスキームが出来上がれば、ある程度、動かす側と動かされる側で納得感を持ち得るような気がしています。
(2)配属現場がやること
・各事務の割り振りにおいて、各人の強みをベースとする。
・強みを言語化して、本人に割り振る際に意味付けを行う。
・今後やりたいこと、挑戦したいこと等を定期的な面談で把握しておく。
今回は、思いベースで書き連ねましたが(汗)、今後はより落ち着いて、現場での運用についてもブログで発信していこうと思います。
まずは、強みをとことん活かすという人事の運用が求められるところです。
強みを活かすことについては、ソフトバンクやリクルート、サイバーエージェント等、日本を代表するイケテル企業が導入しています。
また、読んだ方も多いかもしれませんが、特に役所の人事課の諸君は必ず読んでほしいのが、ストレングスファインダーの本です。
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0
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日本の役所が強みを活かした組織運営を進めたら、非常に強いと思います。
なぜなら、そもそも基本的には頭のよいメンバーが多い、自分の故郷や地域をよりよくしたいという思いがベースにある、事務職、技術職など様々な職種の人が同居している組織であること(イノベーションが生まれやすい環境)等、ベースとなる人材はそろっていると思います。
活かし方一つで、いくらでも働きがいは向上するし、自ずと生産性は上がります。
私はそんな公務員組織が一つでも増えることを願い、発信や行動をしていこうと思います。